ステンレスの錆び

ステンレス製縦樋
ステンレス製でも錆びる事があります。画像はステンレス製の縦樋

一般的に錆びないって印象のステンレスですが、錆びるんです、実は。

錆に強いけど錆びる、何だか変な感じですが・・・
藤永製作所のステンレス遊具にも使われているステンレスパイプ、SUS304という種類の物です。

一般的に使われることの多い種類ですが、意外と知られていないのです。
先程も書きましたが「錆びない」のではなく「錆びにくい」のです。

ステンレス遊具を扱っているメーカーさんでも「ステンレスが錆たぞ!安いステンレス使ったんじゃないのか?!」なんて言うくらいに知られていないけど、錆びるんです。

ほとんど鉄

ステンレスって合金なんです。
SUS304の場合、18%のクロムと8%のニッケルが入っています。
そして残りの74%は何と!鉄なんです。

ちなみにSUSというのはSteel Use Stainlessの頭文字からとられています。
鉄なんです。

最近は洗剤のコマーシャルで「ほとんど水」ってやってますが、ステンレスって「ほとんど鉄」なんです。

じゃあ、なぜ錆びないの?
主成分の鉄にクロムが混ざると表面に極薄い膜が出来るのです、これを不導体化膜といいます。
酸素に触れると一瞬で出来るこの不導体化膜のおかげで錆が防げるのです。

そしてさらに強くして、錆の進行を止めるのが8%のニッケルなんです。
表面に薄っすら錆が出来てもボロボロにならないようにニッケルが頑張っているとも言えます。

ステンレスが錆る原因と対策は?


もらい錆も原因のひとつです。
鉄粉ってけっこうな量が飛んでいるんです、特に幹線道路沿いとか線路沿いとかは多いようです。
そんな舞ってる鉄粉が付着して湿気で錆びてそれが原因で錆が始まる事があります。

汚れも原因のひとつです。
ステンレス遊具でも金具で組んであるとその隙間に汚れがたまって錆が付く事もあります。
溶接一体でそういった錆の原因も防げます。

ステンレス製手摺の錆
海岸沿いに設置されている手摺に出ている錆

塩分の付着も
海岸沿いの手摺の錆がまさにそれです。
塩分の力って凄いんです、だから塩分が付いたまま何もせず放置しておくと錆の原因になります。

とはいえ、ステンレス遊具を頻繁に水洗いする事もないのです。
毎日元気に使っていれば良いと思います。

雪の降る地域ではステンレス遊具って特に良いですね。
雪に埋もれていても錆の発生はほとんどありません。
でも、融雪剤の塩化カルシウムは塩なので注意が必要です。

実は、溶接した所も錆が発生しやすい事もあります。
溶接一体式で製作してるのに・・・って変だね。

溶接した所は表面の金属組織が変化しているのです。
そしてボコボコした溶接だと汚れもたまりやすくなって錆の原因に・・・

その対策として、不導体化膜の再生を促す焼け取りの薬品を使います。
数年前は酸性や弱酸性の電解液を使って焼け取りをしていましたが、今は中性が主流、藤永製作所でも中性の電解液を使用しています。

そしてこの電解液、先ほど書いた不導体化膜の再生を促し強化してくれるのです。

それでも絶対に錆びないとは言えないのです。
ほとんど鉄ですから。

ステンレス遊具の場合、一番の錆対策は毎日楽しく遊ぶことなのかもしれません。

錆発見! その時は

もし錆を見付けたら?
見付けたその錆の状態にもよりますが、遊具の場合、落とせないような状態で見つかる事はほぼないと思います。

見た感じ「ちょっと赤っぽい」とか「何だかザラザラしているような・・・」そのくらいの状態で見付ける事が多いと思います。

ステンレス製手摺
表面がザラザラしています

ネット検索するといくつかの方法が紹介されていますが、私がおススメするのは磨くっていう事です。
ホームセンターでも販売されているピカールのような研摩材で擦って磨くのが一番だと思います。
匂いがちょっと気になりますが、キレイになります。


磨いたあとはツルツル滑って場所によっては危険があるので磨いた後はパーツクリーナーやシンナーなどで油分を落としたいですね。

最近は簡単なバフも販売されているようなのでそういった物を使う方法もありあます。 顔が黒くなるのでそれなりの準備が必要です。

遊具柱バフ研摩
バフで研摩した状態

他にも業務用の物で、塗るだけ、拭くだけでキレイになる物もあります。
最後に水洗いすか完全な水拭きをします。
弱酸性の薬品なのでちょっと注意が必要です。
そしてちょっと高額なんです・・・


購入時の費用はかかりますが、鉄製品のように錆や腐食の修理や、数年毎の塗装などのメンテナンスもほとんど必要のないステンレス遊具の導入を検討してみてはいかがでしょうか。