何があってこうなったのか、不思議なご縁をいただきモニュメントの製作を。
静岡市プラモデル化計画
藤永製作所のある静岡市はプラモデルの出荷が日本一なんです。
そんなこともあってプラモデルでも静岡市をアピールしよう!ということで、プラモニュメントと呼ばれる物があります。
大手広告代理店が地元企業と展開してきたようですが、今回なぜか藤永製作所に話が来ました。
詳しい事が分からないのでなぜかのか、不思議なんです。
設置場所は清水区の日の出地区、清水マリンビルの入り口です。
プラモニュメント
プラモデルの組立前のパーツのイメージです。
ランナーと呼ばれる枠にゲートとゲートがあり、その先にパーツが配置されています。
いくつかの規定があるようですが、今回の物は特例というか、このタイプは最初で最後になるそうです。
大きく言えば唯一無二のプラモニュメントだそうです。
らしく。っぽく
今回デザインした方からの注文、「らしさ」「っぽく」です。
プラモデルらしさとかプラスチックっぽさと要求されました。
さらに、ランナーとパーツを繋ぐ部分、ゲートと呼ばれる物、ニッパーでパチッと切りたくなるような、パチッと切れそうなイメージって事も要求されました。
そして、触った時の気持ち良さ
素材はステンレス、でもっぽく、らしさ・・・
面取り
っぽさ、らしさ、プラスチックの柔らかさを考えて各部品を面取りしました。
部品の使用箇所によって面取りの大きさを調整をして「らしさ」「っぽさ」を調整
現物のイメージが角のイメージの部分は小さ目の面取り
柔らかさを出したい所は大き目の面取り
しかも場所によってその大きさを調整しました。
プラモニュメント、ランナー
ランナーは部品をまとめている枠
今回の物は特例でランナーもパーツのデザインでした。
ランナーで富士山をデザイン
一番初めのデザイン画では富士山の宝永山がありませんでした。
静岡人としては宝永山がないのはダメなんじゃ?と私から提案しました。
製作の面倒が増えるけど、それは譲れないポイントでした。
ランナーの「らしさ」「っぽさ」
宝永山も枠もそれらしくなったと思います。
富士山の山頂部、ゴツゴツ感がなく柔らかな印象になったと思います。
宝永山もイメージ通りにできました。
ちなみに富士山の下の方にあるのは波です、駿河湾の波をイメージ
基本は溶接
っぽさ、らしさを考えつつも製作は製作です。
一応溶接縮みも考えて材料切断しました。
今までの記事でも何度か書いていますが、溶接すると金属が縮むんです。
物によっては思った以上に。
今回使った材料はTP-Aというタイプで、配管などに使われます。
いつも使っているヘアライン材とか研磨材を使おうか最後まで悩みましたがTP-Aに。
「らしさ」「っぽさ」を表現しやすいと考えました。
素材自体の硬さが違います、全然ってくらいに。
縮み量も大きいので意外と扱いが難しい部分もあります。
枠だけ先に製作してって考えた時、溶接する個所数やその溶接の電流値などから・・・
5mm~6mmくらい縮むと判断
結果、ほぼ合っていました。
短いランナーも
枠からパーツへ向かう短いランナーは先に製作しておきました。
これらも「らしさ」「っぽさ」を考えて
子供の頃のプラモデル製作を思い出しながらイメージしながら。
やはりゴツゴツ感がないよう、柔らかさと優しさ
どのランナーもパーツも触った時の気持ち良さも考えています。
どうでしょうか、角を触ったら気持ち良さそうって思いませんか。
富士山といえば雪
雪の境界線とでも言いましょうか、あの線、実際は角角して折れ線グラフの感じですが、そこは優しさで。
漫画で描いたような感じにしてみました。
塗装へ
各パーツの製作が終わったら、定位置へ取り付けます。
微妙なバランスが意外と大切です。
図面と作業台にグリット線をいれて点と点で位置をだします。
座標を拾うような感じです、カッコよく言うと。
塗装が上がった各パーツ
天女
ゴツゴツ感がなく優しい感じに出来ました
羽衣の松
一本だけど存在感がある松です。
大型客船
世界中の客船が寄港する清水港です。
マグロ
マグロの水揚げをアピール、平板なので立体感が出るように工夫
ウィンドサーフィン
ウィンドサーフィンなどマリンスポーツにも力を入れている清水です。
躍動感がでるように製作
サッカーボール
サッカーの街でもあるのでサッカーボール
小さくても存在感のあるデザイン製作
静岡市プラモデル化計画プラモニュメント
こんな感じで完成したのですが、除幕式までは養生しておきます。
静岡市プラモデル化計画プラモニュメント除幕式
静岡市長や地元衆議院議員、地元大企業のトップらが除幕を行いました。
思い
清水へ遊びに来た方々、客船で寄港して清水へ降り立った方々など、「清水ってこんな街なんだね」「こんな歴史、伝説がある街なんだね」って思っていただきたい。
そして何かを感じていただければうれしいです。
ホントに何がどうなってこうなったのか、分からない不思議な製作でした。
若い頃に彫刻家の下で色々製作してきたので今までいくつかのモニュメントや作品を製作してきましたが、それらとはまた違う、もっと身近なモニュメントだと思います。
製作にかかわってくださった皆様の思いを伝えられたらいいな。
伝わるはずです。